韓国出身のフリーランスエンジニア イ氏との深層インタビュー

韓国出身のフリーランスエンジニア イ氏との深層インタビュー
今回は、韓国でエンジニアとして経験を積んだ後、日本でフリーランスエンジニアとして活動しているイ氏に、日本で働くようになった経緯や、韓国と日本の開発現場で感じた違いについてお話を伺いました。
海外でエンジニアとして働く場合、単純に生活環境や働き方だけではなく、開発プロセスやチーム内のコミュニケーション、求められる技術的な役割など、実際の業務に関わる部分にも違いがあります。
イ氏も、日本に来た当初は環境の違いに戸惑うことがありましたが、複数のプロジェクトを経験する中で、日本の開発現場ならではの進め方や、自分の技術経験を活かせる場面を見つけていきました。
また、日本でフリーランスとして活動するにあたっては、単に案件を受ければよいというわけではなく、自身の在留資格で認められる活動であるか、契約先との関係をどのように整理するかといった点も意識する必要があります。
今回は、韓国でのエンジニア経験を持つイ氏が、なぜ日本で働くことを選び、どのように現在の働き方を築いてきたのかについて、技術面とキャリア面の両方からお話を伺いました。
1. 韓国でのエンジニア経験
── まず、韓国ではどのような仕事をされていたのでしょうか?
イ氏:
「韓国では、主にWeb系の開発プロジェクトに携わっていました。
バックエンドを中心に担当していて、APIの設計やデータベース、外部サービスとの連携など、サービスの裏側を担当することが多かったです。
韓国では新しいサービスやプロダクトを比較的短い期間で立ち上げるプロジェクトも多く、開発スピードを意識しながら実装する経験を積むことができました。
一方で、プロジェクトによっては短期間で仕様が変わることもあり、実装スピードと保守性のバランスを考える必要がありました。
その経験から、単純にコードを書くことだけではなく、後から変更しやすい設計や、チーム内で仕様を共有することの重要性を意識するようになりました。」
2. なぜ日本で働こうと思ったのですか?
── 韓国での経験がある中で、日本で働こうと思った理由を教えてください。
イ氏:
「最初から『日本で働きたい』という理由だけで決めたわけではありません。
エンジニアとして経験を積んでいく中で、異なる開発環境で仕事をしてみたいと思うようになったことが大きかったです。
特に、日本の企業では長期間運用されるサービスや業務システムも多く、既存システムを理解した上で改善していくような仕事に興味がありました。
新しく作ることだけではなく、すでに動いているシステムの構成を理解して、影響範囲を考えながら変更する経験も、エンジニアとして重要だと思っていました。
そのため、日本に来ること自体を目的にするのではなく、自分がこれまで経験してきた開発とは異なる環境で、設計や保守、改善まで含めた経験を増やしたいと考えました。」
3. 日本の開発現場で感じた違い
── 実際に日本で開発をしてみて、どのような違いを感じましたか?
イ氏:
「一番感じたのは、技術そのものよりも、仕様や運用を含めて確認するプロセスが細かいことです。
もちろん韓国でもレビューやテストはありますが、日本のプロジェクトでは、実装前に仕様や影響範囲を細かく確認してから進めるケースが多いと感じました。
例えば、一つのAPIを変更する場合でも、そのAPIを利用している画面や他のシステムにどのような影響があるのかを確認してから実装することがあります。
最初は少し時間がかかるように感じましたが、実際に長期間運用されているシステムを見ると、なぜその確認が必要なのか分かるようになりました。
特に既存システムでは、目の前のコードだけを見て変更すると別の機能に影響することがあります。
そのため、現在は実装速度だけではなく、変更による影響範囲まで考えて設計することを意識しています。」
4. 日本でフリーランスとして働くことを選んだ理由
── 日本で会社員として働く選択肢もある中で、フリーランスを選んだのはなぜですか?
イ氏:
「日本でいくつかのプロジェクトを経験する中で、自分の経験を活かせる案件を自分で選びたいという気持ちが強くなりました。
特に、バックエンド開発でも、単純な実装だけを担当する案件と、API設計やデータベース設計まで関わる案件では、エンジニアとして得られる経験がかなり違います。
私は今後、実装だけではなく設計やシステム全体を見る経験を増やしたいと考えていたので、その方向に合う案件を選びやすい働き方に魅力を感じました。
もちろん、フリーランスになると自分で案件を探したり、契約条件を確認したりする必要があります。
それでも、自分が今後どのような技術経験を積みたいのかを考えながら案件を選べることは、自分にとって大きなメリットだと感じています。」
5. 日本で働くための在留資格について
── 日本でフリーランスとして働く場合、在留資格についてはどのように考えていますか?
イ氏:
「ここは、日本に来る前にきちんと確認しておいた部分です。
私の場合は、在留資格『技術・人文知識・国際業務』で日本に滞在しています。
この在留資格では、日本の公私の機関との契約に基づいて、理学・工学などの自然科学分野の技術や知識を必要とする業務に従事することが定められています。
また、ここでいう契約は雇用契約だけではなく、委任や委託なども含まれるとされています。そのため、条件を満たす契約関係のもとでITエンジニアとして業務を行うという形であれば、フリーランスとして活動するケースもあります。
ただし、『技術・人文知識・国際業務の在留資格なら、どんなフリーランスの仕事でもできる』という意味ではありません。
自分が行う業務が在留資格の範囲に入っているか、契約先との関係が適切かという点は確認する必要があります。
私自身も、案件を選ぶときには報酬や技術だけを見るのではなく、在留資格上問題のない業務なのかを意識しています。」
6. 案件が変わるときに気をつけていること
── フリーランスとして案件が変わる場合、何か意識していることはありますか?
イ氏:
「契約が終了したり、新しい企業と契約したりするときには、在留資格に関する手続きも確認しています。
『技術・人文知識・国際業務』などの対象となる在留資格では、契約機関との契約終了や新たな契約締結などがあった場合、原則として14日以内に出入国在留管理庁への届出が必要です。
フリーランスの場合、会社員の転職とは少し違う感覚になるかもしれませんが、契約先が変わる以上、在留資格についても自分で管理する必要があります。
そのため、案件が決まったら技術や条件だけではなく、契約内容や必要な手続きについても確認するようにしています。
海外出身のエンジニアが日本でフリーランスとして働く場合は、技術力だけでなく、こうした部分まで含めて自分で管理することが必要だと思います。」
7. 韓国のエンジニア市場と比べて感じること
── 韓国での経験と比べて、日本でエンジニアとして働く中で感じることはありますか?
イ氏:
「韓国では、新しいサービスやプロダクトを比較的速いサイクルで開発していく環境を経験しました。
そのため、短い期間で機能を実装してリリースまで進めることや、仕様変更に合わせて素早く対応することについては、かなり鍛えられたと思います。
一方、日本で仕事をするようになってからは、既存システムを長く運用するための設計や、仕様変更による影響を抑える考え方をより意識するようになりました。
どちらが良いという話ではなく、異なる環境を経験したことで、自分の中で開発に対する考え方が広がったと思います。
今では、スピードが必要な場面では素早く実装し、長期間使われる部分では保守性や影響範囲まで考えるというように、プロジェクトの性質によって判断するようになりました。」
8. これから日本でフリーランスを目指す人へ
── 最後に、韓国など海外から日本でフリーランスを目指すエンジニアへメッセージをお願いします。
イ氏:
「日本で働くことを考えるなら、単純に『日本のほうが働きやすそう』という理由だけで来るのはおすすめしません。
自分がどのような技術経験を持っていて、日本のどのようなプロジェクトでその経験を活かせるのかを先に考えたほうがいいと思います。
例えば、バックエンドの経験があるなら、使用してきた言語だけではなく、API設計、データベース、認証、クラウド、パフォーマンス改善など、実際にどこまで担当したのかを整理しておくことが重要です。
さらに海外から日本に来る場合は、案件だけではなく在留資格や契約についても事前に確認する必要があります。
自分の技術力を整理して、それを日本のプロジェクトでどう活かせるのかまで説明できれば、国が変わってもエンジニアとしての経験をつなげていけると思います。」
まとめ
韓国でエンジニアとして経験を積んだ後、日本でフリーランスとして活動するイ氏は、日本で働くことを単純な環境の違いではなく、異なる開発プロセスや長期運用を意識した設計を経験する機会として捉えています。韓国で培った開発スピードや仕様変更への対応力に加えて、日本のプロジェクトで経験した影響範囲や保守性を考えた開発を組み合わせることで、自分の技術的な判断の幅を広げてきました。また、フリーランスとして案件を選ぶ際には、報酬や勤務条件だけではなく、自分が今後どのような技術経験を積みたいのかを基準にしています。
海外から日本でフリーランスとして働く場合は、技術力だけでなく、在留資格と契約関係について理解しておくことも重要です。「技術・人文知識・国際業務」は、日本の公私の機関との契約に基づく技術・知識を要する業務を対象としており、契約には雇用だけでなく委託等も含まれますが、実際の活動が在留資格の範囲に該当するかを確認する必要があります。また、契約終了や新たな契約締結などについては、原則として14日以内の届出が必要とされています。日本で働くことを目的にするのではなく、自分の技術経験をどのようなプロジェクトで活かし、どのようなキャリアにつなげていくのかを考えることが、海外からフリーランスとして活動する上で重要なポイントになります。




