
データサイエンティストの平均年収はどのくらい?年齢別データと自分の年収の比べ方
データサイエンティストの年収を調べると、記事によって数字が数百万円単位で違います。多くの場合、その差は「誰を調べたか」と「年収をどう数えたか」の違いから生まれているんです。
自分の年収と比べるなら、厚生労働省のjob tagで同じ年齢帯の値を見てみましょう。そのうえで、自分の年収も同じ計算方法に直すのが近道です。データサイエンティスト協会の調査にある平均837万円は、実務経験を積んだ会員の参考値として扱うと読み違えにくくなります。
データサイエンティストの平均年収は?job tagと協会調査で数字が違う理由
job tagの職業詳細では、データサイエンティストを次のように説明しています。ビッグデータを分析し、新しい商品・サービスや業務の改善につなげる仕事です。課題の聞き取りから、データの加工、モデル作り、効果の検証、実装までを担います。
平均年収としてよく引かれるのは、このjob tagの値と、協会の会員アンケートの値です。どちらも「平均」ですが、集めた相手が違います。
項目 | job tag | 協会の会員アンケート |
|---|---|---|
もとの調査 | 厚生労働省の賃金構造基本統計調査 | 協会の一般(個人)会員へのメール調査 |
答えた人 | 会社などに雇われて働く人 | 任意で回答した会員のうち、分析の実務者とマネジメント層 |
年収の数え方 | 毎月の給与の12か月分に年間賞与を足す | 回答者が答えた年収 |
金額 | 職業詳細ページに掲載 | 平均837万円(2024年調査) |
job tagの年収の計算方法は、統計データの留意事項に書かれています。確認できた時点では、令和6年調査のデータが令和7年5月20日に反映されていました。
本体ページの金額を直接確かめられなかったため、ここでは金額を載せていません。見るときは、ページに書かれた調査年も一緒にメモしておきましょう。
協会の837万円は、2025年3月公表の会員アンケートの値です。年収の質問には実務者とマネジメント層だけが答えています。そのため、雇われて働く人全体よりも、経験を積んだ層に寄った平均として見るのがよさそうです。
年齢別の年収はどう見る?job tagの年齢階級グラフの読み方
job tagの職業詳細ページには、年齢階級ごとの年収グラフもあります。年収は上の表と同じ数え方で、5歳刻みの年齢帯ごとに並べたものです。
まずは、隣り合う年齢帯の差を見てみましょう。差が大きい区間は「上がる時期」の目安です。差が小さくなる区間は「頭打ちに近い時期」の目安になります。
ここで迷いやすいのが、グラフを一人の昇給の道のりとして読んでしまうことです。各棒は、その年にその年齢帯にいた人の平均にすぎません。いま25〜29歳の人が、5年後に30〜34歳の棒の額になるとは限りません。
データサイエンティストでは、この点が特に効いてきます。協会の2026年版会員調査では、他部署からの異動や他職種からの転職で就く人が多いとされています。新卒から分析業務に就く例は少ないそうです。
そうなると、40代の年齢帯には、分析歴の長い人と異動したばかりの人が混ざっているかもしれません。年齢だけで「自分は遅れている」と決めないほうがよいんです。
自分の年収を同じ物差しに直す:毎月の給与×12+賞与で計算する
job tagの年収は、「きまって支給する現金給与額」の12か月分に年間の賞与などを足したものです。これは毎月決まって払われる額面の給与のことで、基本給に残業代や手当も含みます。
比べる前に、自分の年収をjob tagと同じ数え方に直すことが出発点です。手順は次のとおりです。
- 給与明細で、賞与を除いた月の総支給額(手取りではなく額面)を見る
- 残業代が月ごとに違うなら、数か月分をならした額を使う
- その額を12か月分にして、1年間の賞与の合計を足す
- 源泉徴収票の「支払金額」と大きくずれていないか見て、検算する
説明用の仮の例で計算してみます。29歳で、社内の異動でデータ分析担当になって2年目の人です。基本給は30万円、残業代などの手当は月4万円、賞与は年80万円とします。
月の給与は手当込みで34万円です。その12か月分に賞与を足すと、job tagと同じ数え方で488万円になります。
基本給だけを12か月分にすると360万円となり、100万円以上も低く見積もってしまいます。この数字で平均と比べると、実際より大きく見劣りしてしまうんです。
この例で比べる相手は、job tagの25〜29歳の値です。全体平均や協会の837万円を、すぐ目指す目標値にはしないでおきましょう。
今の市場で、自分のスキルはどれくらい評価される?
市場動向とあわせて、自分の現在地や狙える案件を確認してみましょう。
年齢帯の平均より上か下かで次の打ち手が変わる
同じ物差しの数字が出たら、年齢帯の平均より上か下かを見ます。そこに「いま担当している業務の範囲」を重ねると、優先することが見えてきます。下の表は判断の例で、年収アップを約束するものではありません。
年齢帯 | 平均を下回るとき | 平均を上回るとき |
|---|---|---|
20代 | 統計やデータ加工などの基礎を固め、任される作業を増やす | 課題を決める打ち合わせに同席させてもらう |
30代 | 伸びが止まったら、課題設定や事業側への提案まで担当を広げる | 効果検証や実装まで責任を持ち、成果を説明できるようにする |
40代以降 | 社内で担当を広げる余地がなければ、異動や転職を比べてみる | マネジメントか専門の深掘りか、進む方向を選ぶ |
担当範囲を見るときは、job tagの仕事の流れが手がかりになります。課題の聞き取りから実装までのうち、自分が関わっている工程を書き出してみましょう。
たとえば「依頼されたデータを加工し、モデルを作る」部分だけなら、前後の課題設定や効果検証が広げられる部分です。社内でその余地が見つからないときに、異動や転職を比べてみる。そういう順番で考えることもできます。
スキルチェックリストver.6で年収差の理由を棚卸しする
平均との差の理由を探すときは、協会のスキルチェックリストver.6が役立ちます。2025年12月4日に公開され、Excelでダウンロードできます。同じ発表では、項目を650から845に増やしたとしています。
項目は、ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力の3つに分かれています。使い方は次の流れです。
- Excelをダウンロードし、「一人でできる」項目に印をつける
- 印が少ない領域を一つ選ぶ
- 前の節で書き出した担当範囲と照らし、仕事の中で試せる項目を決める
- 次の評価面談で、その項目に関わる仕事を担当したいと伝える
仮に、ビジネス力の課題設定の欄が空いていたとします。それなら次の評価期間は、分析を頼まれる側から、課題の定義に加わる側へ役割を広げることを目標にできます。
チェックリストの読み方は、IPAのITSS+データサイエンス領域のページにある概説書で解説されています。2025年12月10日に改訂版が出ていますが、いまの概説書は改訂前の内容に対応しています。
チェックの数と年収の関係を示した資料はありません。年収を上げる手順表ではなく、足りないところを見つける道具として使ってみてください。
平均年収の数字だけで判断しないほうがいい場面
job tagの値は、比べ方を外すと判断を誤らせます。次の場面では、数字を並べる前に一呼吸おいてみましょう。
- フリーランスの報酬と比べるとき:賃金構造基本統計調査は雇われて働く人の統計で、業務委託の報酬は対象外です。案件単価とは並べられません。
- 肩書と統計の職種がずれていそうなとき:データサイエンティストがどの職種分類に当てはめられているかは、確認できていません。社内で「アナリスト」や「エンジニア」と呼ばれていても、統計の分類と一致するとは限りません。
- 求人の提示額と比べるとき:提示額には幅があり、残業代や賞与を含むかどうかも求人ごとに違います。同じ数え方に直してから比べましょう。
まずは、今月の給与明細と前年の源泉徴収票を手元に用意して、自分の数字を一つ出してみましょう。job tagの同じ年齢帯の値と調査年を横にメモしておけば、次の評価面談で何を話すか決めやすくなります。





