
PM資格の難易度と受験時期 IPA試験の再編とPMPの受験資格で決める
国内のプロジェクトマネジメント資格で最も難しい部類に入るのは、IPAのプロジェクトマネージャ試験です。難しさの中心は、午後IIの論述で自分のプロジェクト経験を筋道立てて書くことにあります。PMPは、試験を受ける前の受験資格(経験月数と35時間の研修)と、3年ごとの更新の手間が関門になります。
ただし2026年秋の時点では、両者を比べる前提が変わっています。IPAの試験は2026年度からCBT方式になり、現行制度はこの年度で終わる予定です。2027年度からの新試験はまだ合格実績がないため、難易度を比べる材料がありません。そのため、「どれが難しいか」よりも「いつ、どれを受けるか」を条件で分けたほうが判断しやすくなります。
2026年秋、PM資格の難易度比較で前提が変わった3点
- IPA試験のCBT化:IPAは応用情報・高度試験のCBT方式での実施について、令和8年度からペーパー方式をやめると案内しています。問う知識・技能の範囲、出題形式(多肢選択式・記述式・論述式)、出題数、試験時間は変わりません。
- 現行制度の終了:プロジェクトマネージャ試験のページ(2026年7月6日更新)には、2026年度はCBT方式で後期に実施すること、現行の試験制度は2026年度の実施で終わり、2027年度から新試験制度へ移る予定であることが書かれています。
- 試験区分の見直し案:経済産業省とIPAは2026年3月31日に試験区分体系の見直し案を公表しました。この段階ではまだ案であり、確定した制度ではありません。
変わっていない点もあります。IPAの試験は、一度合格すれば更新の制度がありません。PMPを含むPMIの資格は、以前から3年ごとに更新する仕組みです。
IPAプロジェクトマネージャ試験の難しさは合格率より午後IIの論述
IPAの統計を引用した解説記事では、この試験の合格率は低い水準で推移していると紹介されています。ただし、編集部はIPA統計の原本で年度別の値を確認できていないため、ここでは数値を挙げません。受験を検討する場合は、IPAが公表している統計情報で年度ごとの値を見てください。
合否を分ける仕組みは、二次情報でも一貫して説明されています。試験は午前I・午前II・午後I・午後IIの4つで構成され、午後IIの論述は評価ランクAで合格です。午前の多肢選択は知識を積み上げれば得点を伸ばせます。一方、午後IIでは、設問に沿って自分が関わったプロジェクトの状況・判断・結果を論理的に書く必要があります。経験の棚卸しと、時間内に書き切る練習にかかる時間が、準備期間を左右するというのが編集部の見立てです。
CBT化で論述はどう変わるか
IPAの案内から確かに言えるのは、論述式が残り、試験時間と出題数も変わらないことだけです。CBT化によって合格率がどう動くかは分かっていません。論述がキーボード入力になることで、書き直しは手書きより楽になると考えられます。その反面、構成を決める前に書き始めてしまうおそれもあります。ただ、どちらも推測にすぎません。手書きで練習してきた人は、同じ時間内にキーボードで構成から推敲まで終えられるかを、練習の段階で実際に確かめておくと判断材料になります。
2027年の新試験「PDS(マネジメント)」で分かっていること・いないこと
IPAの見直しの検討状況(2026年3月31日時点)によると、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の構成は次のとおりです。
- 科目A-1:90分・60問
- 科目A-2と科目B:合わせて120分・23問と12問
免除については、現行の高度試験と同等の免除制度と、現行試験の免除要件を持つ人に一定期間の経過措置を設けることが検討されています。新試験制度のシラバス案として、PDS(マネジメント)試験(仮称)のVer.0.2が2026年6月30日に掲載され、7月31日に更新されました。
まだ分かっていないのは、正式名称、合格基準、経過措置の最終的な内容です。新試験は合格率が存在しないため、現行試験より易しいか難しいかは比べられません。「新試験のほうが通りやすいかもしれないから待つ」という判断には、現時点では根拠がありません。
今の経験で、どんなフリーランス案件を狙える?
スキル・経験・希望条件から、自分に合う案件の選択肢を確認できます。
PMPは受験前の申請が関門──経験月数・35時間・3年ごとの更新
PMPの受験資格は、PMI公式ではまだ確認できていません。以下は二次情報に基づく内容です。4年制大学卒の場合はプロジェクトを率いた経験が36か月、それ以外は60か月必要で、これに加えて35時間の研修が求められるとされています。経験を数える対象期間は、二次情報によって「直近8年」と「直近10年」の記載が食い違っています。申請の前に、PMIのハンドブックで確認が必要です。
経験月数の数え方にも注意がいります。並行して担当した案件の期間は、重なった部分を二重に数えないと説明されています。説明用の仮想例で考えてみます。4年制大学卒のフリーランスが、次の3件でリーダーを務めたとします。
- A案件:2023年4月〜2024年3月(12か月)
- B案件:2023年10月〜2025年3月(18か月)
- C案件:2025年10月〜2026年9月(12か月)
単純に足すと42か月です。しかし、AとBが重なる6か月は1回しか数えません。A開始からB終了までの24か月にCの12か月を足すと、36か月になります。もし記録上の役割が「リーダー補佐」だった期間を除く必要があれば、36か月を下回ります。要件を満たすかどうかは、期間と役割を示す記録があるかで決まります。記録を申請に使えるかどうかは、所属先や発注元との取り決めを確認してください。
取得後の維持については、PMIの資格維持ページに、3年ごとにPDUをCCRSへ入力して更新料を払うこと、更新料は会員の年会費とは別であることが書かれています。必要なPDU数と金額は、このページの抜粋では確認できていません。二次情報では60PDU、更新料は会員60ドル・非会員150ドルとされています。仮に1ドル=150円で計算すると、非会員は3年で約22,500円です。PDUを有料の講座で取る場合は、その費用がさらに加わります。
条件別:今年度に受けるか、2027年を待つか、PMPに回るか
条件 | 今年度に現行試験 | 2027年の新試験を待つ | PMPの要件を満たしてから |
|---|---|---|---|
論述の準備期間 | 後期試験までに経験の棚卸しと論述練習を複数回できる | 間に合わない。シラバスの確定を見てから準備したい | 論述より経験要件と研修が中心 |
経験の記録 | 論述の題材にできる案件を1件以上説明できる | 同左 | 重複を除いた月数を記録で示せる |
海外・外資の案件 | 国内案件が中心なら判断に影響しにくい | 同左 | PMBOKを前提にする発注元や現場に関わる予定がある |
維持コスト | 更新なし | 維持の扱いは未確定 | 3年ごとのPDUと更新料を続けられる |
今年度に受けることには、もう一つ条件があります。2026年度後期試験の申込期間が残っているかは、この記事では確認できていません。IPAの試験スケジュールで日程を見てから検討してください。今年度に合格しても、それが新試験の一部免除に使えるかどうかは、経過措置が確定するまで分かりません。そのため、「免除を目当てに今年度受ける」のは、確定を待ってから判断するのが筋です。
「8選」一覧を読むときに公式で確認すべき項目
CAPM、応用情報技術者、ITストラテジスト、P2M、PMOスペシャリスト、PRINCE2などを並べた一覧記事は多くあります。ただ、受験料や合格率には記事ごとに異なる時点の数値が載っています。この記事では、これらの資格の数値を一次資料で確認できていないため載せていません。一覧を読むときは、次の項目を運営団体の公式ページで確かめてください。
確認項目 | 見る理由 | 特に当てはまる資格 |
|---|---|---|
受験資格・研修要件 | 試験の難しさより先に、受験できるかどうかが決まる | PMP、CAPMなどPMIの資格 |
実施方式 | CBTかどうかで練習方法が変わる | 応用情報、ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ |
更新制度 | 取得後の費用と手間が続く | PMIの資格、その他は各団体で確認 |
2027年再編の影響 | 現行の区分がなくなり、名前や構成が変わる | IPAの区分全般 |
数値の時点 | 受験料や合格率は改定される | 一覧記事の比較表すべて |
次にやることは3つです。まずIPAのスケジュールで後期試験の申込期間を確認します。並行して、これまでの案件を月単位で書き出し、重複を除いたリーダー経験の月数を出します。そのうえで、PDS試験の経過措置に続報が出たら、今年度に受けるか新試験を待つかをあらためて決めてください。





